今日の夢

私はロフト付き角部屋2階の日当たりのいいワンルームに住んでいる。
今、部屋の中の私のいる位置からは玄関は見えない。
しかしそちらのほうから何か人の気配がする。
_外に誰かいるのか?_
そう思って身構えると、いきなり玄関のほうの死角から男が部屋の中へ入ってきた。
驚いた私は、
「何を勝手に入ってきてんだ!」
と、その男の後頭部をハリセンでひっぱたいた。
赤い全身タイツを着た中年男だ。
肩のところは三角形に青い布地になっていて、腰にはベルトが巻かれている。
背は低いが体格はいい。
「なんだ!?」
という私の疑問にその男はすぐに
「留年マンだ!!」
と、私の眼を見据えて堂々と答えた。
「君を留年させるためにやって来た!」
…それは迷惑な話だ!
しかし、自慢ではないが私はすでに大学を中退している。
「あの、もう学校には行ってないんですが…。誰かと間違えたんじゃないですか?」
だが留年マンは頭の中で確認するようにゆっくりした口調で反論した。
「そうか。いや、大丈夫だ。今日は私がこっちで、彼があっちだから…」
…意味がわからない。
「彼」ということは仲間がいるのだろうか。
私の他にも被害者がいるのだろうか。
私の困惑を見ながら留年マンは続けた。
「学校に行けば、『麻衣子』さんというかわいい同級生がいろいろ勉強を教えてくれるぞ」
「…『麻衣子』さんって、『菊池麻衣子』さん?」
私はその名前に聞き覚えがあるような気がしたのだ。
「そうだ」
留年マンは力強く頷いた。
菊池麻衣子」さんが誰かは思い出せなかったが、今や私は_もう一度学校に通って留年するのも悪くない…_と思い始めていた。